見せることを目的とせず描かれたものを展示することの意味も含め、「素描」が示唆する内容に、各人各様に思いを巡らせるきっかけとなればと、2006年より企画し今年で8年目を迎えました。

「素描」は簡略で客観的な写生のようですが、生地が反映し、自身の心の中が現れるようです。日常生活の中で知覚するさまざまな対象や状況から、直ちに得られる実感や感動によって手を動かし、対象とする目前の形象や心的表象を、端的に掴み取ろうと探ります。創作上の前段階的作業であった素描が、近代ではそれ自体を目的とする作品が現れ、又其々の魅力に価値を見出すようになった現況です。