この度、藝大フレンズの皆様のご支援のもと「買上展 ―藝大コレクション展2023―」を2023年3月31日(金)から5月7日(日)までの会期で開催しました。

　「買上」とは、東京藝術大学が卒業および修了制作の中から各科ごとに特に優秀な作品を選定し、大学が買い上げてきた制度です。遡って、前身である東京美術学校でも卒業制作を買い上げて収蔵する制度がありました。現在では本学が所蔵する「学生制作品」は1万件を超えますが、本展ではその中から約100件を厳選し、東京美術学校時代から今日にいたる日本の美術教育の歩みを振り返りました。

　本展は、歴史とともに変化を遂げてきた買上作品を通じて、日本における近現代美術史が生まれてきた場を振り返る企画です。また、本学における買上制度の意義を見直し、今後を見据えるための試みでもありました。買上作品の存在は、残念ながら学外にはほとんど知られていません。本展は、「保管及び展示等を通して教育研究に資するため」（作品買上基準）と規定され国の公共美術教育機関が買い上げてきた作品がその時代の最先端を示して来たことをひろく紹介する点において、また全科を俯瞰する壮大な規模という点において、これまでにないコレクション展となりました。

　今回助成いただいた賛助金は、本展にあわせて制作した16頁にわたるリーフレット制作の費用に充てさせていただきました。明治から昭和前期までの東京美術学校卒業制作を中心に、自画像などを含めて美校生たちの創作活動の全貌を紹介した第一部「巨匠たちの学生制作」からは代表的な11作品を、卒業・修了制作の中から各科ごとに特に優秀と選定し大学が買い上げてきた作品を紹介した第二部「各科が選ぶ買上作品」からは全51作品を掲載し、図録に準ずる規模の印刷物を制作することができました。

　皆様より助成いただいた賛助金により、展覧会事業の質を向上させることができました。藝大フレンズの皆様には心より御礼申し上げますとともに、今後もご支援賜りますようお願い申し上げます。

東京藝術大学大学美術館一同

第1 部「巨匠たちの学生制作」

第2 部「各科が選ぶ買上作品」

特別内覧会